樹脂めっき(プラスチックめっき)は、ABS樹脂やポリカーボネートなどのプラスチック表面に金属膜を形成する技術です。金属はもともと導電性があるため容易にめっきできますが、 樹脂は絶縁体のため、そのままでは金属を付着させられません。そこで、表面を特殊処理して金属が密着しやすい状態をつくり、無電解めっきで導電層を形成したうえで、 電気めっきにより耐久性や装飾性を付与します。
この技術は1960年代にABS樹脂を対象に開発され、日本でも自動車部品や電子機器の分野を中心に普及しました。軽量化と意匠性を両立できる点から、現在でも多くの産業で活用されています。
樹脂めっきは、いくつかの工程を経て行われます。代表的な流れは次のとおりです。
化学反応を利用して金属(主にニッケルや銅)を析出させ、樹脂表面に薄い導電層を形成します。これにより、電気めっきが可能になります。形状が複雑な部品でも比較的均一にめっきできるのが特徴です。
導電性を得た部品に対し、通常の電気めっきを行います。銅やニッケルで下地を整え、最終的にクロムや金、銀などを施すことで、装飾性や耐摩耗性を強化します。自動車部品では、多層構造によって美観と耐久性を両立させています。
樹脂めっきは「軽くて成形しやすい」という樹脂の特徴と、「金属光沢や耐久性」を組み合わせられるため、幅広い分野で使われています。
樹脂めっきは、樹脂素材に金属の質感や機能を付与できる表面処理技術です。軽量化やデザイン性の向上、耐食性や導電性などの機能追加により、自動車、電子機器、住宅設備、装飾品など
幅広い分野で利用されています。一方で、密着性や変形リスクといった課題もあり、設計段階からの考慮や適切な工程管理が不可欠です。
当社では、まだ量産レベルではありませんが、通常はめっきが難しいとされる樹脂素材にも対応してきました。たとえばポリスチレン材料においては、プライマーなどの下処理を行わずに、
直接銅めっきや金めっきを形成することを可能としました。また、ポリイミド、LCP(液晶ポリマー)、ポリエチレン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)といった
多様な樹脂に対しても試作の実績があります。さらに、次世代高速通信に向けた樹脂基板製造技術の研究にも取り組んでいます。
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