多層めっきとは?特徴と活用シーンをわかりやすく解説

  • ホーム
  • 一覧
  • 多層めっきとは?特徴と活用シーンをわかりやすく解説

多層めっきとは

一般的に「めっき」と聞くと、単一の金属層を表面にコーティングするイメージが強いですが、近年では性能をさらに高めるために「多層めっき」という手法が広く用いられるようになっています。
多層めっきとは、異なる金属や同じ金属でも条件の異なる層を複数積み重ねる技術です。それぞれの層が持つ特性を組み合わせることで、単層めっきでは実現できない性能を引き出すことができます。 イメージとしては、基材の上に「下地層」「機能層」「表層」と順番に積み重なっていく構造であり、各層が役割を分担しながら全体の性能を向上させています。

多層めっきの目的とメリット

  • 耐食性の向上
    複数の層を設けることで、腐食が進みにくい構造を実現します。例えば、自動車部品の外装に用いられるニッケル多層構造は、外観の美しさを保ちながら高い耐久性を実現します。
  • 導電性・接触抵抗の制御
    電子部品の接点などでは、表面の導電性が重要です。下地にニッケルを敷き、その上に金や銀をめっきすることで、導電性と耐摩耗性を両立できます。
  • 機械的強度の改善
    多層化によって内部応力を分散させ、クラックや剥離を抑えることができます。特に耐摩耗性が求められる部品では効果的です。
  • 拡散バリアとしての役割
    素材とめっき金属の間で発生する元素拡散を抑えるため、中間層を設けることがあります。これにより性能の劣化を防ぎ、長期的な安定性を確保します。

代表的な多層めっきの応用例

  • 自動車分野:装飾クロムめっきの下地にニッケルを複数層施すことで、耐食性と光沢を両立。
  • 電子部品分野:金めっきの下にニッケルや銅を多層で施すことで、はんだ付け性や接触信頼性を確保。
  • 産業用途:センサーやスイッチなど、厳しい環境下で使用される部品において、多層構造で性能を長期安定化。

技術的な課題と工夫

多層めっきはメリットが多い一方で、いくつかの課題もあります。例えば、異なる層間で発生する応力や熱膨張差により、剥離が起きやすくなることがあります。 また、層の厚み管理が不十分だと、本来期待される特性が得られません。これらを克服するためには、浴組成の制御、工程ごとの洗浄、適切な前処理など、緻密なプロセス管理が欠かせません。

まとめ

多層めっきは、単層めっきでは得られない性能を実現するための「複合的な設計手法」です。耐食性・導電性・耐摩耗性といった複数の機能をバランス良く兼ね備えることができるため、今後ますます重要性を増していく技術といえます。


多層めっきは当社独自の商品開発にも活かされています。「やきつかナット®/やきつかボルト®」は、独自開発した多層めっきで仕上げた焼き付き(かじり)防止性能の高い商品です。 日本水道協会が規定する「焼き付き防止処理試験」をクリアしており、ボルト・ナットが焼き付くことで発生する交換作業や設備メンテナンスに伴う作業ロスを減らしつつ、 設備寿命の延長に貢献します。
詳しくは 当社のめっき技術ページ をご覧ください。

お問合せ

[株式会社 友電舎]
〒554-0052 大阪府大阪市此花区常吉2丁目4-8
TEL:06-6465-1663 FAX:06-6468-5600

Mail:toiawase@ydn.co.jp

ページの先頭へ戻る